AFCについて
 一昔前まで犬といえば番をする動物だったのが、今では家族の一員、コンパニオンアニマルという位置づけに変わってきました。公園には沢山のミックスの子犬が捨てられていた時代が、今や飼い主の中途放棄のため、ピュアブレッドの犬が動物保護管理センター(動管センター)で殺処分になるケースが増えている現状です。
 その理由はある程度納得のいくものから怒り心頭に達するものまで様々ですが、一度縁あって家族の一員として迎え入れたのなら、なぜ飼い主がもっと犬をできるだけ「いいこ」にする努力をしなかったのか、自分の腕の中で眠るように送ってやれないのか・・・考えてしまいます。
 日本のペット業界は成長を続けています。しかし動物の流通経路にしても子犬の両親やきょうだいを見てその中から自分の気に入った子を選んで買うことのできるところは少なく、ペットショップのショーケースの中にいる子犬を買うのがほとんどではないでしょうか。そしてペットショップの店員さんの中で犬種の特性を正しく把握し、お客様の家族構成や家の周囲の環境にあった動物(犬を飼うには不向きな方には他の猫とか鳥とか魚とか)をお勧めできるほどの人材がどれほどいるでしょうか。犬を飼う人たちも犬種の特性等よく勉強してから、自分にはどれがいいか決めているでしょうか。長い間、人間と共に暮らしているため、飼いやすい動物と誤解されているのです。そしてその長い歴史の中で人間の役に立つように様々な仕事に合う特性を持った犬たちを交配し、品種固定されてきました。その中で、家庭犬として向く犬種は、どれなのでしょうか。飼い主はその犬にいったい何を求めているのでしょうか。
 ボーダーコリーを例にとってみましょう。あるテレビ番組で犬の中でボーダーコリーが一番賢いと言っていました。賢い犬=家庭に向いている犬、ではありません。彼等は牧童の手伝いをし、羊や牛の群れをまとめるための犬なのです。反抗する羊や牛を鋭い目つきで威嚇し、群れからはずれたものの周りをグルグル回り、後肢を咬みながら群れをまとめるのです。それには高い運動能力と頭脳が必要です。牧童の命令に従うだけではなく、自分で判断することも必要です。そんな犬を家庭犬として飼う場合、どのような問題がおきやすでしょうか。動くものは何でも追う。走っている車、自転車、チョロチョロ走る子供、犬、猫、鳥等々――。向かってくるものに対し、姿勢を低くしてじっと睨みつけ、突然飛びかかる。歩いていると後ろから来てくるぶしをカプッと咬む(この行動は牛追いの犬であるコーギーもよくやります)。運動量は非常に多く、同時に頭を使うこともさせなければならない。そんな犬をお年寄りのコンパニオンとして、または小さなお子さんの多い家庭で飼ったらどんなことになるでしょうか。人も犬もどちらもかわいそうです。ではフリスビーやアジリティ等のドッグスポーツのために飼えばいいのでしょうか。俊敏な身のこなしで飼い主を楽しませてくれます。でも、家庭犬としてのお行儀は――?
 人間も同じですが、どんなに仕事に精を出す人も家庭があってのことではないでしょうか。そして何よりの大切なのは飼い主と絆です。ディスクやアジリティの障害のないところでよい関係が作られているかどうか、なのです。誰でも年をとり、身体の動きが鈍ってきます。そんな時、その犬とどのようにして楽しく生活をしていきますか?
 飼い主になるということはひとつの生命に対し重大な責任を負うということなのです。素敵な家族の一員になってもらうために私たち飼い主は幅広く勉強しなければいけません。犬とはどんな動物なのか、その犬種とは何のために作られたのか、その個体はどのような性格なのか、健康管理は? 心理面の健康管理は? 人間社会の中で暮らしていくためにその犬をどのように育てなければならないか。
 私どもAFCは皆様のお役に立ちたいのです。犬に関する情報、技術は日進月歩です。世界の最新情報と技術、そして経験豊富な海外講師も招聘し、犬との楽しい暮らしを犬に関わるすべての皆様にご提案するクラブなのです。